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【2022年10月】
 昆虫の変態から細胞の変化の仕組みを探る
(応用生物学系 高木 圭子 准教授) ※紹介動画はこちら(You Tubeが開きます)

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昆虫とは何か その進化と変態

 地球が誕生して約46億年の歴史の中で、昆虫が出現したのは約5億年前と言われています。また、現在の地球上のすべての生物の種の中で、半数以上が昆虫であることから、「地球は昆虫の惑星」と言われることもあります。長い進化の過程で昆虫が得た多様性や遺伝的資源から、私たち人間が学べることは多いです。
 最初に出現した昆虫は、翅が無い無変態昆虫であったと言われています。硬い表皮(外骨格)で覆われた昆虫は、成長するためには脱皮をして小さい表皮から大きい表皮に脱ぎ変える必要がありますが、無変態昆虫は、体の構造をほとんど変えずに生殖可能な成虫になるまで脱皮を繰り返し成長し、成虫になった後も複数回脱皮します。昆虫の進化を大きく転換させたのが、翅の出現でした。翅のおかげで、昆虫は生活範囲を遠くまで広げる能力を得ましたが、翅という複雑で繊細な構造を持つことで、それ以上脱皮することができなくなります。昆虫が成長するためには脱皮をしなければいけません。翅をもつ昆虫も、幼虫期には、将来翅になる予定の細胞を体の深くに隠しながら(あるいは単純で不完全な構造の翅として体の外にもちながら)、脱皮を繰り返して成長します。幼虫がある程度の大きさまで成長すると、隠れていた翅が一気に大きくなり、体の他の部分も変化し、生殖が可能な成虫となります。このような、動物が体の機能や構造を大きく変化させることを「変態」といい、昆虫は翅の出現とともに変態の能力を得たと考えられます。イモムシ?蛹?チョウのように、幼虫期には翅が完全に隠れている昆虫を完全変態昆虫と呼び、バッタやカメムシのように、不完全な翅をもった幼虫が成虫に変態する昆虫を不完全変態昆虫と呼びます。
 変態の過程で、昆虫の体の中の細胞は、多様でダイナミックな変化を起こします。それは細胞死や細胞の再構成や分化など、我々の体の中で起こる細胞の変化とおおよそ同じです。私たちは昆虫の変態を通して、細胞が起こす変化がどのように制御されているかを明らかにすることを目的として研究しています。最近では、卵を作る組織である卵巣を形作っている様々な細胞がどのように変化するかに着目した研究を行っています。

卵巣の制御

 図はコウチュウ目のコクヌストモドキのtelotrophic型卵巣の実体顕微鏡による写真(左)です。卵巣の中で卵は一層の濾胞細胞に囲まれて、数珠状につながっています。この構造をovarioleと言います(真ん中、蛍光写真)です。昆虫の卵巣において、卵黄合成期初期と呼ばれる時期は、卵が“生きるか死ぬか”の分かれ目となるチェックポイントとして機能していることが、ショウジョウバエなどの持つpolytrophic型卵巣で報告されています。我々は、polytrophic型とは構造が異なるtelotrophic型卵巣でも、同じく卵黄合成期初期がチェックポイントとして機能することを発見しました。微小管モータータンパク質の一つであるkinesin-1が、卵巣の濾胞細胞の単層構造を維持するのに必要で、特にチェックポイントである卵黄合成期初期で特異的に機能することを明らかにしました(写真 ds malEが正常な一層の濾胞細胞、ds kin-1がkinesin-1のノックアウトにより単層構造が崩れた濾胞細胞、青が核、赤がアクチン細胞骨格。文献1)。現在、チェックポイントの機能との関連について解析中です。

図1

エクジステロイド合成組織としての卵巣

 脱皮?変態?生殖の制御の中心となるホルモンがエクジステロイドです。脱皮直後の成虫の卵巣には濾胞が無く未成熟であり、エクジステロイドの合成量、合成酵素遺伝子の発現量は低いですが、成虫への羽化後しばらくすると、エクダイソン合成量および合成酵素遺伝子の発現量が上昇することを確認しました(写真、A-ovary:卵巣におけるエクダイソン合成量、B-ovary;卵巣におけるエクダイソン合成酵素発現量。文献2)。一方で、卵巣以外の部分におけるエクダイソン合成量は羽化直後が最も高く、成長に従って減少していました(A-whole body、B-Body without ovary)。これらは前胸腺と呼ばれる組織由来であると考えられ、成虫に脱皮した後に崩壊することが示唆されます。前胸腺は、昆虫の脱皮に必要なエクジステロイドを合成する組織です。成虫におけるエクジステロイド合成の場所を前胸腺から生殖巣(卵巣)へ変化させたこと、このことが昆虫が無変態昆虫から完全変態昆虫へと進化した鍵であると考えています。

図2

【主な発表論文?関連特許】

  • Functions of kinesin-1 motor protein in the telotrophic meroistic ovary of red flour beetle, Tribolium castaneum
    Sunada, T, Kotani, E, Kaneko, Y, Takaki, K
    Journal of Insect Biotechnology and Sericology, 89, pp17-24 (2020)
  • Analysis of the role of ecdysteroid in oocyte development after adult eclosion in the red flour beetle, Tribolium castaneum (Coleoptera: Tenebrionidae)
    Takaki, K, Hazama, K, Yazaki, M, Kotani, E, Kaneko, Y
    Applied Entomology and Zoology, 55, pp299–308 (2020)

疯狂体育app下载の紹介バックナンバー

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    2020年3月
    うごきとことば:身体科学
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  • 2020年2月

    2020年2月
    室温で液体のように流動する
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  • 2020年1月

    2020年1月
    GPUスパコンによる凝固?
    粒成長の大規模phase-field
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  • 2019年12月

    2019年12月
    超音波散乱法で拓く微粒子
    分散系の革新的技術開発と
    その応用研究
    (材料化学系 則末智久 教授)